復縁は地図を手に入れた旅に似ている

今付き合っている人とは、一度別れたことがある。

忙しくてなかなか会う時間がとれないことから疑念が育ちに育ち、本当に私のことを大切に思ってくれているのなら別れを匂わせれば少しは焦ってくれるだろうと思って実行に移したところ、見事素直に受け入れられてしまったというパターン。いわゆる「自爆」というやつだ。時間と距離をおいて冷静に振り返れるようになった今、なんて面倒くさい奴だったんだろうと恥ずかしさに悶てしてしまう。

別れている間、お互い新しいパートナーが出来た。…ということになっている。向こうには本当に出来たのだろうけど、その話を再会した際に聞いた私は、流れで「私も。」と口走った。それ以来、架空の「前彼」なる人物が私達の間には存在することになった。「前彼」についての話題になるたびに何でこんなこと口走ってしまったのかという罪悪感に苛まれているけれど、よりにもよって再会した喜び絶頂の時に、私以外の人に対して愛情を持った時間があるという事実を突きつけられた衝撃から心を守るためには仕方のない抵抗だった。

別れていた期間はちょうど2年。別れた瞬間から復縁を目指していた私にとって修行のような時間だった。何度「復縁」でググったことか。「冷却期間が必要」「連絡は一切断つ」「自分磨きが大切」。同じような情報を来る日も来る日も読み漁っては、その日が来ることを願っていた。

今はあれだけ苦しかった離れている時間を必要な時間だったと思えている。足掻いている真っ最中は、そんなの成就した側の高みからの物言いだと思っていたけれど、実際その立場になってみると変わらないことにはどうにもならなかったということが理解できる。なにせ相手を試すようなことをして「自爆」するようなタイプだったのだ。ちゃんと精神的な自立をして相手と自分との間には境界線が存在することを理解しなくてはいけなかった。

復縁を一度ダメになった縁だから上手くいかないことは分かっているとして良しとしない意見もある。でも恋愛が下手くそすぎる私の場合は、地雷原の地図を手に入れて安全に歩いているようなものなのだ。幸いなことに相手側も同じようで、忙しさを理由に放っておくと自爆されるという経験からだろう、自らスケジュールを開示しては「俺通信」を毎日のように送ってくれるようになった。思いを寄せる人からの「俺通信」を愛情と言わずして何と言おうか。

この投稿は、忙しさを理由に会う予定をドタキャンされた勢いで書き始めた。何も変わってないじゃないか!!という怒りを表す予定だった。でも書いているうちにどうも風向きが変わってしまった。書くことでちゃんと愛情を向けられていることを確認してしまった。

一晩おいた今朝、一通のLINEが届いていた。今から出張に出るという。行き先を見ると日本縦断とでも言うべき日程。あぁ、これの準備が押していたんだなと合点がいく。合点がいけば溜飲も下がる。喜怒哀楽をなくすことは出来ないし、したくない。だからきっとこれからもこうやって繰り返しては折り合いをつけていくんだろう。

さて、出張先からはどんな「俺通信」が届くだろうか。